クトゥルフ神話のちょっとした不思議をコンセプトにしたショートシナリオ、雨月珈琲堂綺譚。

今回はイスの偉大なる種族です。円錐フォルムがどこか愛らしいですね。

話の構造はすごくシンプルですが、ポイントは仕掛けに気付いてもらえるかという一点に尽きます。もう少しヒントを出してもいいかも知れませんね。日記に蓋にして回すなんて書いてあるとちょっと興醒めですが。

楽しんでいただけたら幸いです。
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雨月 秋成(うげつ あきなり)
男性、48歳。雨月珈琲堂店主。
STR12 CON13 SIZ13 INT15 POW18 DEX16 APP15 EDU18 SAN90
耐久力13 db+1D4
技能:オカルト75%、機械修理50%、クトゥルフ神話5%、経理75%、芸術(絵画)60%、写真術65%、信用90%、心理学80%、説得85%、値切り85%、博物学75%、目星70%、おいしいコーヒーを淹れる99%
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容器に例のソーサーを裏返して蓋をし、右回りに2周、左に3周させると次のことが起こる。

ソーサーの底に幾何学模様(サイロにあったディスクと同様な)が浮かび容器が鈍く輝く。それは一瞬で、光が消えると共に現れていた模様も無くなっている。容器に何か入れていたなら、それは消失している。この現象は一度きりで、以降は同じやり方をしても何も起こらない(サイロの虫かごと同じ仕組み)。

この時、容器に入れた物がコーヒーだった場合、コーヒーは跡形も無くなっているが、代わりに硬貨が1枚ある。女王の横顔のシリング銀貨。調べれば、ヴィクトリア朝後期に製造されたものであることがわかる。

・報告
雨月に事の次第を話すと…

「ホームズが活躍した時代はドリップよりも煮出しが主流で、混ぜ物がされていたと聞きます。かなり煮詰めていたらしく、今飲んだとしたら相当えぐく感じるでしょうね」

彼はそう語ると、コーヒーを振舞う。いつもと違う味がする。聞くとオーストラリアの豆で淹れたコーヒーだという。

「移民の国、旅人の味です」


◎報酬
このシナリオの参加者は1D6ポイントの正気度を得る。
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小山の麓、辺りを木々が囲む人気の無い個所に黒い塔…サイロがひっそりと聳えている。巨大な円筒状で、鉄の外観は黒くさび付いており長い年月の経過を感じる。
閉じた扉には閂錠があるが施錠はされていない。<アイデア>の半分か<追跡>でここ最近開かれた痕跡に気が付く(元々鎖錠が巻かれていたが現在は無い)。

サイロ内部、円形のスペースの中心に一本の木があり、うっすらと青白い光を放っている。ライラックで紫色の花が咲いている。よく見ると、樹皮にはカブトムシやクワガタ等の甲虫が群がっていることがわかる。

探索者が木に近付くと、ブゥンと電子音がすると共に発していた光が消える。すると、群がっていた甲虫が一斉に羽根をばたつかせ、開いている扉の外へ飛び立つ。ライラックは花を散らし、紫の花弁がサイロ内の地面を覆う。

これは木に仕込まれていた保存装置(木を一定の状態に保ち虫を留め置く為の)のエネルギーが丁度切れたことによるものだが、役割を終えた装置は完全に消滅しており木を調べても何も見つけることは出来ない。

・虫かご
サイロ内部を捜索すると、瓶や缶、菓子などの小箱、小皿や鍋蓋が幾つも見つかる。容器類の中身は無い。どれも普通に市販されていた物の無価値なガラクタである。
それらに混じって唯一空でないものがある。透明なガラス瓶。口を無地のディスク(CD・DVDメディアのような)が塞いでおり、中に一匹のカブトムシが入っている。
瓶に触れようとすると、突然ディスクが回り出す。ディスクは右回りに2周、左回りに3周、瓶の上で回転して止まる。すると、ディスクの表面に幾何学模様が浮かび、同時に瓶全体が白い光を発する。光は一瞬で消え、瓶の中のカブトムシがいつの間にか居なくなっている。ディスクに浮かんでいた模様も無くなっている。

この瓶とディスクの仕組みは中の物質を別の場所に転送するものだが、一度の起動で役割を終える。元々は一般に売られていたガラス瓶とCDで、起動後のものを調べても別段不審な点は無い。

起きた事象やディスクに浮かんだ幾何学模様等から<クトゥルフ神話>で、これらがイスのテクノロジーに関連していることを推理する。
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大家の遺体が発見されたのは広い自然公園の一角。川と接した個所で、ホームレスが多く暮らす。

◎センセイ
「大家智弘」の名前を知る者は河原の住人の中に誰一人居ないが、彼の写真を見せたりテントで死んでいた人物のことを尋ねると、皆口々にその人物を「センセイ」と呼ぶ。

・来訪
センセイは6月の初め頃にふらっと現れた。身に着けているもの以外は手荷物は何も無く、最初は自殺志願者だと思い警戒した。

・昆虫採集
センセイはこの一帯や高台のライラック園で昆虫を採集していた。カブトムシやクワガタ、カナブン等の甲虫が主で、捨てられた瓶や箱を利用して細かく分類していた。あまりに研究熱心な様子から「センセイ」と渾名された。

・変人
「研究」以外には無頓着で、放って置くと雨露関係なしに食事も取らずに没頭する。見かねたホームレス仲間達が住居用にテントを提供し、何かと世話を焼いていた。センセイは変わっていたが、いつも笑っていて憎めない人物であった。笑顔を絶やさないことを尋ねると、「人は笑う動物だから」と答えた。

・恩人
センセイには恩人がいるらしく、自分が係っていた土地のトラブルを解決する大きな助けになった人物だという。また、自分が研究(おそらく虫取りのこと?)出来るのはその人が環境を提供してくれたお陰と言っていた。
その恩人は長らくの夢だったという旅行に出掛け、もう会うことは無い。通信手段のトラブルで、旅先のコーヒーがまずいと嘆く知らせが一度届いたきり音信不通とのこと。

・死の直前
死ぬ3、4日前、センセイは妙なことを言っていた。「もうここに留まるのは限界だ」今思えば自らの死期を悟った発言だろう。


◎テント
大家が死んでいたテントは既に片付けられている。元から生活感が無く、目立った遺留品は残っていなかった。死んだ時には飼っていた昆虫は一匹も居らず、センセイがどこかに逃がしたものと皆思っている。


◎記憶喪失者
昨日(探索開始の)の記憶の無いホームレスがいる。
今朝になって住居のテントの中ではたと自分を取り戻した。それまで本人はどう過ごしていたのかわからないという。昨日以前の記憶に関しては、はっきりした口調で答え、病気を患っていたり虚偽を言っている感じは無い。
他の住人に聞くと、そういえば昨日は見かけなかったと答える(生活柄から別段気にする者はいない)。

・花弁
履いていた靴の底やテントの中を調べると紫の花びら(ライラック)が数枚見つかる。

・催眠
この人物に対し、時間をかけてしつこく問い詰めたり、<精神分析>によるアプローチを試みた場合、普通に話していた様子が突如一変する。無言になると立ち上がり、ぐるぐるとその場を回転し始める。右に2回、左に3回ほど周るとぐらりと膝から崩れ落ちて倒れる。数秒の間気絶するが直ぐに目覚める。
起きた後に、何故そんなことをしたのか聞くと、何もわからないと答える(嘘を言っている様子は無い)。

※このホームレスこそ雨月珈琲堂にソーサーを届けた人物である。その時はイス人に肉体を支配されていた(現在は本人の精神が戻っている)。
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