カテゴリ:パンの大神( 20 )

つかれました…。
全てアップするまでちょっとかかってしまいましたね。

このシナリオはアーサー・マッケンの原作を元に、TRPGとして脚色を加えたものです。大まかな展開は原作に沿ったつもりですが、ゾンビとのバトルや静子の設定などクトゥルフの探索ぽい演出として変更しています。
純粋な原作ファンの方がお読みで気分を害されましたら深くお詫びします。もしゲームという点をご理解いただけたのなら幸いです。

シナリオとしては…中盤、静子の育った村に探索者をどう導くかがキーポイントですね。朽木のこと以外にも、田代が村に行っている情報など出してもいいかも知れません。
あとは、失踪したブルジョア連中の情報も甘いので、この辺もう少しかっちりした方が良かったと反省。
ラストに関しては、冴島の独白で終わるより、ゾンビ&静子と対決してスパッと切ってしまうのもそれはそれで良いのかもと思ったりします。

少しでも楽しんでいただけたとしたら、とても嬉しいです。

さて次回は…現代日本ものをアップ予定。
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八木里 宗雄(やぎさと むねお)
男性、46歳。元子爵の家系のブルジョアジィ。美作雪子のパトロン。
STR10 CON13 SIZ13 INT12 POW14 DEX10 APP11 EDU16 SAN35
耐久力13 dbなし
技能:言いくるめ70%、経理70%、信用60%、説得80%、値切り80%、自動車の運転60%、乗馬60%、英語50%

冴島 啓介(さえじま けいすけ)
男性、67歳。医者。朽木清司の旧友。
STR 8 CON10 SIZ14 INT15 POW10 DEX 7 APP10 EDU20 SAN50
耐久力12 dbなし
技能:医学95%、応急手当95%、オカルト40%、化学90%、心理学85%、人類学70%、精神分析80%、生物学95%、図書館95%、博物学70%、物理学80%、英語70%、ラテン語60%、ドイツ語50%、薬学95%

上村 澄子(うえむら すみこ)
女性、23歳。静子の幼い時の友達。精神を病んでいる。
STR 6 CON 7 SIZ10 INT12 POW15 DEX 5 APP14 EDU10 SAN15
耐久力 9 db-1D4
技能:省略

静子(しずこ)
女性、22歳。朽木の人体実験により真理子が産み落とした子供。暗黒の産物。
STR12 CON12 SIZ12 INT18 POW30 DEX18 APP18 EDU18 SAN 0
耐久力12 dbなし
技能:言いくるめ99%、隠れる99%、心理学99%、説得99%、等
呪文:姿を変えたり、ゾンビを創造したり操る方法を先天的に知っている。
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このシナリオの参加者は1D10ポイントの正気度を得る。
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牧風村で朽木と静子のことを調査し終えた後、冴島啓介にその件を問い質すと、彼は次のことを語る。

「真理子が朽木の人体実験に使われたことは前に話したな。もう二十年以上前になるか。あの日、私は牧風村に居た。朽木が研究を完成させたと連絡をよこしたんだ。私に証人になって欲しいと」

「森の近くに建てられたロッジで、私は友人と再会した。そして、真理子とも。彼女は、手術台に寝かされ、頭蓋骨を外されていた。脳が剥き出しで、見るに耐えない姿だったが、それでもまだ彼女は生きていた。私に向かって笑ったんだ。私はたまらず、ロッジを飛び出した。間も無く、辺りが暗くなり、そして白い光が村中を包んだ。光が去った後、山火事が起こった。不安に駆られ、ロッジに戻った私に朽木は言った。彼女は『パンの大神』を見たと。真理子は頭部に包帯を巻かれ、眠っていた」

「それから真理子は目覚めることなく、10ヵ月後に死んだ。私はその死を見取ったわけではないが、朽木の話では、およそ信じられない死に方をしたという。真理子は、死の直前に子供を出産した。朽木が言うには真理子の頭の中から生まれたのだそうだ。子供…そうはじめ私が見た時は肉の塊だった。それが年を重ねるごとに人になっていった。言葉まで話すようになった。朽木がそれと過ごした五年間、私にも想像がつかない。ある日、とうとう彼は我慢できなくなり、それを手放した」

「もう気付いただろ?その子供が、静子だ」

・顛末
美作雪子=静子が死んだ後なら、冴島はこう言う。

「実は、先日、朽木が私を訪ねて来た。彼は私に告げた。どこか遠くへ行く。きっともう会えなくなるだろう。だから、別れを言いに来たと。彼はかなり草臥れた様子だった。きっと死を決意していたのだろう。私は何も言わず、友人を見送った。帰り際、彼は最後に私に言った」

「『いま静子は彼女の仲間たちと一緒にいるよ』」
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八木里が死に、美作雪子が静子であると確証を得た時点で彼女の屋敷に行くと起こる。この時点で八木里が死んでいるため、雪子の住まいをガードする者はいない。

屋敷の窓はカーテンが閉め切られ、中は暗い。
ドアを開けてすぐ女の歌声がするのに気付く。声のする先はパーティホールで、奥に一段高いステージがある。蒼白のピンスポットが照らされ、そこに透けるような白い肌の女が立っている。女はマイクスタンドを前に唄っている。美しい声の歌だが、歌詞は意味不明の言葉。<クトゥルフ神話>に成功すれば、この歌が神話に関係する何かの呪文であることに気が付く。

女に近付こうとすると、暗がりから礼服を着たゾンビが探索者の人数分現われて襲い掛かる。正気度ロール(1/1D8)。このゾンビは、美作雪子のパトロンだった失踪した上流階級の者達の成れの果て。ステージ上の女、雪子=静子に唄うのを止めさせれば、ゾンビは動かなくなる。

静子は探索者に微笑み…

「もし、知っておいででしたらお教え願えませんか?私という存在が何者なのか。どこから来たのか。ずっとそのことばかり考えていた。そして今も私は森の中で考えている。硬い殻に覆われた灰色の森の中で」

女の顔が蝋のように崩れ、別の顔になる。田代蛮行の絵のモデルにそっくりな女。薄ら笑いを浮かべ、身体を不安定に揺すると、突然、悲鳴とも奇声ともつかない声を揚げる。すると、女の身体がみるみるうちに崩れていき、人体の皮膚、肉、筋、骨がグズグズに溶け出し、そして、他のものに形成されていく。形態が非人間的なものに移行し、さらに形を変えて筆舌し難い異形と化し、最後にはゼリー状になる。すると、再び形態を構成し出し、古代の彫刻や壁画、あるいは伝説に登場する人とも獣ともつかない醜怪な化物の姿となる。それが、人の形へと移行し、5、6歳くらいの少女の姿となり、遂に動かなくなる。ここまで一部始終を目撃した者は、正気度ロール(1D3/1D10)。

少女は絶命している。<医学>を試みても、死体から通常の人間との差異は見つからない(普通の人間と変わらない)。
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探索者が牧風村から戻った時点で起こる。
八木里宗雄が自殺する。以下、八木里の側近や家人、マスコミなどから得れる情報。

今朝方、使用人が邸内の木の枝に紐を吊って首を括った主人の死体を発見した。
八木里は前夜、レストランで美作雪子と食事をし10時まで雪子の勤めていた高級クラブで過ごしたが、その時は平素と変わらなかった。その後二人は別れ、八木里は帰宅した。その際、夫人が出迎えたが、この時も八木里におかしな点は無かった。帰宅後、八木里はやり残した仕事があるからと書斎に閉じこもり、朝に死体となって見つかるまで誰も見ていない。
書斎の窓が開いており、明け方に外に出たものと思われる。遺書は無く、動機も不明。
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◎森
過去の事件(山火事、行方不明)から、気味悪がって村民は近付こうとしない。

木々が鬱蒼と生い茂る外観からは不気味さが漂う。しかし、森の中は外観とは裏腹に、紅葉に色付く木々が美しく、野花の甘い香りが漂う。暫くすると山道に出る。小高い個所で、村を一望出来る。眼下には青い日本海が広がる。その反対には谷と川があって、草地や田畑の間に民家が点在し、さらに屏風状に山脈が連なり、青い峰が遠く聳えている。
次第に道は爪先上がりになり、上って行くと厚い芝草に囲まれたちょっとした広がりに出る。木の葉がそよぎ、木漏れ日がチラチラと影を落とす美しい広場。ここから道は細くなり、遠く霞に没している。
見上げる先には丘があり、そこに樫の巨木が一本立っている。

・幻覚
広場に着いた時点で<POW×3>ロール。成功した者は、霞の向こうから二つの小さな影がこちらに近付いて来るのを見る。一人は少女(上村澄子と会っているなら<アイデア>で彼女の面影があるのに気付く)で、もう一方は何かわからない。定まった形があるのかどうかもはっきりしない影と、少女は楽しげに駆けている。それが目の前を通り過ぎて行った時点で我に返る。
正気度ロール(1/1D6)。幻覚を見た者はこれより先に進みたくない気持ちになる。また、狂気に陥った者は、一刻も早く山を降りたい衝動に駆られる。特に道の先に進むことを断固拒む。

・死体
丘の上、樫の巨木に着いた時点で空が曇り、薄暗くなる。冷たい風が吹き草木を騒がせ、ごうごうと山全体が吼え声を揚げるような音を轟かせる。

<目星>に成功すると、巨木の傍に草を輪状に倒した直径30センチくらいのエリア(まるでミステリーサークルのような)があるのに気が付く。そこの地中に、二つの腐乱死体が埋まっている(SAN 0/1D6)。着ている物から男と女であることがわかるが、顔や肉体はぐずぐずに崩れているため年齢層などは見て取ることは出来ない。
<医学>で、土中であることと腐敗具合から推察するに半年から一年は経過していることを思い当てるが、土中に埋めた死体の死亡期間の特定が非常に難しいため断定には至らない。

女のカーデガンのポケットに給与明細書が入っている。1927年9月25日付けの支払いで横浜の住所と店名が記載されている(美作雪子が働いていたカフェ)。
他に二つの死体が所持しているものはない。

さらに二つの死体の下を掘ると、白骨化した三人の子供の亡骸が見つかる。
※腐乱死体は田代蛮行と美作雪子、白骨死体は12年前に行方不明になった子供たちである。
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◎石沢静子
石沢家は現在も村にある。農業を営む五十を過ぎた夫婦が二人で暮らしている。石沢は村では新参者で二十年近く前に越してきた。元は新潟の町で商売をしていたが、借金を作りこの村に逃げてきた。

以下は石沢夫婦及びその家族(村外で生活)しか知らない情報。聞き出すためには、交渉系の技能を駆使するか金を積むなどの方法が必要。

・静子の経歴
1911年6月。村に住み始めて間も無く夫婦はある人物から幼児を引き取る。初老の男性で身分は明かさなかったが、幼児を自立するまで育てる謝礼として多額の金を渡された。そのため男の正体について深く追求しなかった。その託された幼児が静子であった。
石沢には他に五人の子供がいたが、早いうちから丁稚に出している。静子も例外でなく、12歳で新潟の町工場に働きに出される。その後、16歳の時、視察に訪れた工場の親会社の社長に見初められる。その人物こそ矢立幸一郎であった。
結婚してからは音沙汰が全く無くなり、静子が現在何をしているか石沢夫婦は知らない。
※静子を石沢夫婦に預けたのは冴島啓介である。彼は朽木からそうするよう頼まれた。

・不思議な娘
静子は家族の中で孤立していた。血が繋がらないことも理由ではあったが、時折意味不明な言葉を話したり、奇妙なメロディの歌を唄ったりと気味悪がられていた。兄弟や村の子供らと遊ぶことは無く、よく、森の中に一人で入って行ったりしていた。

・行方不明事件
1916年4月30日。昼過ぎ、静子はみんなで遊んでくると婦人に告げる。帰宅後、騒ぎが起こり戻らなかった三人の子供について静子に問い質したところ、森に残してきたこと(前述)を語った。騒動の中、その晩の静子は上機嫌な様子で、普段は見せたことのない笑顔を覗かせていた。

・田代の絵
田代蛮行の描いた女性の絵を夫婦に見せれば、そのモデルが確かに静子であると答える。


◎上村澄子
上村澄子の消息は元村長一家(今は村長は引退している)から得れる。
現在は新潟市内の療養施設に居る。12年前の行方不明騒動以来、心を病み、今も回復していない。医者の見立てはひどいショックを受けたことによるものだという。

・療養施設
施設に行けば澄子と会えるかも知れない。
澄子は部屋の片隅で縮こまっている。医者の話では、ずっとこのような状態で、時折意味不明なことを呟いたり、支離滅裂な歌を唄ったりするという。回復の兆しも無い。
澄子にいくら語りかけても通じないが、静子の名前を出すと…

「森。友達に会わせてくれるって。すごく大きな木が見えるところまで行った。そしたら、真っ暗になった。でも、何も心配ないって言って、あの子、歌を唄った。いつも聞かせてくれる歌とは違う、キンキンした変な声で唄うの。そしたら、遠くで馬の鳴き声が聞こえて、その声が木の方からだんだんこっちに近付いて来たの。私、怖くて泣いた。周りからも誰かの泣く声が聞こえた。二人…三人かな。でも、あの子は平気で唄い続けた。それから唄うのを止めると…、友達だよって、言ったわ。何も見えないのに。ううん。私に見えなかっただけ。本当はそこに大きな何かが居たの。居たのよ。あれは…あれは……いや、いやあ…いやあああっっ(泣き叫ぶ)」
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◎12年前の行方不明事件
1916年4月30日に行方不明になった子供の家族や当時を知る村民から聞ける情報。

・子供たちの関係
当時、新潟市から村長の孫娘が越してきた。上村澄子で、病気がちであったため街の喧騒を離れ田舎で療養と体力作りを目的に、祖父の元へと預けられた。
澄子は如何にも街から来た「お嬢様」といった感じで、村の子供の中に馴染めない様子だった。その澄子と仲良くなったのが石沢静子である。静子はまだ10歳に満たない年齢だったがどこか大人びた雰囲気を漂わせる娘で、風貌も田舎育ちとは思えぬ洗練された感じで、また都会人のような冷めた印象があった。石沢家が元々村の外から来た新参者であることもあり、そのため、静子も孤立した存在だった。似た気質の二人はかなり気が合っていたようで、いつも一緒に居た。二人は連れ立ってよく森に遊びに行っていた。
村の子供の中には澄子と静子の仲を疎ましく思う者たちもいた。輪に入らず勝手に行動している二人をおもしろくないと感じていた子供は少なくなかった。特に同年代のリーダーであった石田一汰や村内で最も多い一族である山田家のもと子は二人に目を付けていたようである。

・当日の様子
4月30日。澄子と静子に嫌がらせをするため二人がよく行く森に先回りすると、もと子が妹に告げる。もと子が一汰と前から計画していたことで、妹も誘われたが断ったので代わりに従兄弟の正夫が呼ばれた。この日の昼過ぎ、村民の何人かが三人が森に入り、その後、澄子と静子も森に行ったのを目撃している。
夕刻、澄子と静子のみが帰宅した。澄子は熱を出し話を聞くことは出来なかったが、静子が語るには森でみんなで楽しく遊んでいたという。暗くなってきたので帰ろうと言ったが一汰、もと子、正夫はもう少し遊びたいと森の奥に入って行った。それで静子は澄子と二人で戻った。
村民総出で夜通し山を探したが、結局三人は見つからなかった。

・森
子供たちが入った森は、以前に山火事のあった場所の近くである。

・澄子の帰郷
行方不明騒動があって澄子はずっと熱を出し、家にこもっていた。それから直ぐ、他の村民たちに顔を見せることなく両親の居る新潟市に戻った。
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海と山しか無い寂れた漁村。
村を一通り見て回った時点で<アイデア>に成功すると、海や山の景観が田代蛮行のスケッチブックに描かれた場所によく似ていることに気が付く。

以下、牧風村での調査で手に入る情報。


◎さざなみ旅館
牧風村唯一の宿泊施設。ひなびた宿で、漁師の主人が兼業している。

・絵
旅館の片隅に小さな額に入った絵が飾られている。若い女を描いたラフ画で、田代蛮行のタッチに似ている。絵のモデルは田代のスケッチにあった人物とは違い、サインも無い。
この絵は、客が置いていったものを主人が気に入り飾った。一年前に宿泊した夫婦者の夫が妻を描いたものだという。画家らしき旦那は病気を患っているのかひどくやつれた様子で、若い妻に手を引かれて歩いていた。相当な金持ちみたいで、車で訪れた。
宿帳に、1927年11月2日の日付に「田無蛮声・静代」と記帳されている。
※この夫婦者は田代蛮行と矢立静子である。静子は美作雪子に入れ替わっており、田代は既に正気を失っていた。


◎朽木清司
朽木は1905年10月から1911年8月までの約6年間をこの村で過ごした。小さな診療所を構えていたが、現在は残っていない。

・真理子の死
村に来た当初は若い娘を連れていたが、その娘は一年後に結核で死んだ。但し、役所に死亡報告を行ったのは朽木で死亡診断書を記したのも彼によるもので、娘が死んだのを見取った者は他に居ない。葬儀は内々で行われたようで村民の参列者はおらず、墓はこの村に設けられなかった。

・来訪者
娘の死後も朽木は村に留まり五年の間、診療所を開いていた。その間、彼を訪ねる者は一人しかいなかった。朽木と同年代の男で、年に一、二度訪れる程度。かなり親しげで、この男に対しては普段無愛想な朽木も心を開いているようで、笑顔を覗かせることもあった。
※朽木を訪ねたのは冴島啓介である。

・軍人
1911年8月、朽木が忽然と村から姿を消した。それから間も無くジープに乗った軍人が3名やって来た。診療所内を調査し、また朽木の消息について村民に尋ねて回った。村民は誰も朽木の行き先を知らず、一通り聞き終えると軍人らは村を出て行った。


◎山火事
1905年11月14日の山火事について、当時、山に居た者に話しが聞ける。

その日はよく晴れており、日が暮れる間際まで作業をしていた。ところが、日没前に空が突然曇り、ものすごい速度で辺りが闇に包まれた。完全な暗闇になった次の瞬間、真っ直ぐな閃光が上空から丘に走り、一瞬で太陽よりも眩い白い光が村一面に広がった。山に居た者は全身にひどい火傷を負った。火傷はその光を浴びたせいで、山火事は光が去った後に起こった。火はすぐに鎮火した。丘の近くに居た六人は全員、消し炭のような黒焦げの死体となって発見された。
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