カテゴリ:Descent with modific( 29 )

いかがでしたでしょうか。

正直、探索者にとってはかなりきついシナリオだと思います。タイトスケジュールなので探索の進み具合などを考慮して期間を延ばしてもいいかもしれませんね。

なんか以前から1年過ぎてしまいましたが、またぼちぼちと更新して行くとは思いますので気が向いたときにでも覗いていただけると幸いです。
では、次の機会に…次もありますよー。き、きっと!
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牧立絵留(まきだて・える)
女性、17歳。ショゴス細胞に蝕まれる本シナリオのヒロイン。
STR 7 CON10 SIZ10 DEX18 APP16 INT12 POW18 EDU10 SAN45
耐久力10 dbなし
技能:シナリオ中、目覚めることは無いので割愛。

ショゴス変身時
STR36 CON30 SIZ40 DEX 4 INT 7 POW18
耐久力35 db+4D6 移動(転がり)10
武器:押しつぶし70%、ダメージ=db
装甲:なし。火と電気のダメージは半分。火器は貫通に関係なく1ダメージ。1ラウンドに2ポイントの耐久力を回復する。
呪文:なし。
正気度喪失:1D6/1D20
※その他、ルールブック「ショゴス」参照。

牧立美都子(まきだて・みつこ)
女性、48歳。牧立滋の後妻。絵留の義母。
STR10 CON13 SIZ11 DEX10 APP15 INT11 POW13 EDU14 SAN35
耐久力12 dbなし
技能:言いくるめ80%、聞き耳50%、経理50%、コンピューター20%、信用40%、心理学60%、値切り60%、法律30%、目星45%、男を誘惑する80%

降城慧(ふるぎ・けい)
男性、70歳。降城神社の神主。絵留の母、絵理の父。
STR10 CON12 SIZ14 DEX 8 APP10 INT14 POW16 EDU15 SAN55
耐久力13 dbなし
技能:オカルト45%、鍵開け40%、芸術(舞踏)75%、経理60%、信用80%、心理学60%、説得75%、天文学35%、図書館50%、ナビゲート50%、値切り55%、歴史50%

降城清乃(ふるぎ・きよの)
女性、68歳。降城慧の妻。絵留の祖母。寝たきりで痴呆症。
STR 5 CON 6 SIZ 9 DEX 3 APP 9 INT 6 POW18 EDU15 SAN20
耐久力 8 db-1D4
技能:ほとんどの技能を失っている。

四十万公康(しじま・きみやす)
男性、38歳。タクシー会社津川ハワードの社員。事故後、狂気に陥る。
STR12 CON15 SIZ13 DEX14 APP11 INT10 POW12 EDU12 SAN25
耐久力14 db+1D4
技能:運転(自動車)65%、機械修理50%、信用50%、ナビゲート80%、値切り65%、目星55%

君塚昇(きみづか・のぼる)
男性、36歳。私立探偵。絵留を長年マークしていたがショゴス細胞の狂気に当てられた。
STR15 CON13 SIZ14 DEX14 APP12 INT13 POW11 EDU14 SAN15
耐久力14 db+1D4
技能:言いくるめ65%、運転(自動車)50%、隠れる95%、聞き耳80%、経理45%、コンピューター40%、忍び歩き85%、写真術85%、心理学40%、追跡85%、図書館60%、ナビゲート55%、値切り70%、目星80%

鳶口桐比古(とびぐち・きりひこ)
男性、49歳。ウィルクスランド症候群研究の第一人者。闇医者。
STR10 CON13 SIZ14 DEX18 APP 9 INT18 POW13 EDU20 SAN 0
技能:医学99%、応急手当99%、オカルト80%、化学85%、クトゥルフ神話25%、コンピューター60%、写真術60%、心理学85%、人類学95%、精神分析80%、生物学95%、図書館95%、博物学60%、目星80%、薬学95%、歴史60%、外科手術99%

末次達郎(すえつぐ・たつお)
男性、48歳。実業家の顔を持つ七星の番人の幹部。
STR13 CON13 SIZ14 DEX15 APP12 INT15 POW15 EDU16 SAN80
耐久力14 db+1D4
技能:言いくるめ90%、運転(自動車)50%、回避70%、聞き耳65%、経理90%、コンピューター50%、信用70%、心理学65%、説得80%、法律70%、英語40%、中国語40%、台湾語50%
武器:45口径オートマチック50%1D10(1/R)

七星の番人メンバー
末次の側近達。一括してこのデータを用いる。
STR14 CON14 SIZ14 DEX13 APP10 INT13 POW13 EDU13 SAN65
耐久力14 db+1D4
技能:運転(自動車)80%、回避60%、隠れる60%、聞き耳60%、目星60%、日本語50%、マーシャルアーツ35%、キック70%、こぶし80%
武器:45口径オートマチック60%1D10(1/R)、コンバットナイフ70%1D4+2+db

青薙組構成員
一括してこのデータを用いる。ミザールのバウンサーなど手だれは全ての技能に+10。
STR13 CON13 SIZ13 DEX13 APP10 INT10 POW10 EDU13 SAN50
耐久力13 db+1D4
技能:運転(自動車)50%、回避50%、聞き耳50%、目星50%、キック50%、こぶし60%
武器:32口径オートマチック35%1D8(3/R)、ドス50%1D4+2+db

駿河春一(するが・しゅんいち)/ミハエル・イブン・ラーハン
男性、30歳。駿河黄道の遺志を継ぐ者達のリーダー。
STR13 CON12 SIZ15 DEX16 APP16 INT16 POW18 EDU14 SAN 0
耐久力14 db+1D4
技能:オカルト95%、隠す55%、隠れる50%、聞き耳40%、クトゥルフ神話30%、経理55%、コンピューター30%、忍び歩き35%、心理学70%、説得65%、天文学40%、図書館65%、ナビゲート50%、値切り45%、博物学30%、日本語65%、目星60%、歴史30%
呪文:肉体の保護、ヨグ=ソトースのこぶし、アザトースの呪詛、像に魔力を付与する、その他にウボ=サスラの棲家へと繋がる門を開く方法を知っている

ウィザード
ミハエル一派のウィザードは一括してこのデータを用いる。
STR10 CON10 SIZ10 DEX13 APP 8 INT14 POW18 EDU14 SAN 0
耐久力10 dbなし
技能:オカルト80%、クトゥルフ神話15%、日本語30%
武器:儀式用装飾付きサーベル15%1D8+1
呪文:ヨグ=ソトースのこぶし、像に魔力を付与する、その他にウボ=サスラの棲家へと繋がる門を開く方法を知っている

センター襲撃部隊
ミハエル一派のセンターを襲撃した者達は一括してこのデータを用いる。
STR12 CON12 SIZ12 DEX12 APP10 INT12 POW12 EDU12 SAN 0
耐久力12 dbなし
技能:オカルト60%、クトゥルフ神話10%、隠れる50%、聞き耳50%、忍び歩き50%、目星50%、日本語30%
武器:32口径オートマチック20%1D8(3/R)

ウボ=サスラの落とし子
センター地下フロアに出現する小型の個体。一括してこのデータを用いる。なお、大型の個体はルールブックにあるデータの平均値とし、武器は飲み込み攻撃を用いる。また、ウボ=サスラの棲家で出現する個体は様々であり、任意に設定すること。
STR 9 CON 9 SIZ 9 DEX 7 INT 0 POW10
耐久力 9 dbなし 移動 9
武器:触肢による突攻撃75%、1D4(貫通有り)
装甲:殴打、切りつけ無効。火、魔術、魔術を付与された武器のみ通常ダメージを受ける。
呪文:なし。
技能:忍び歩き90%
正気度喪失:1/1D8
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◎探索者の選択
病院の惨劇を止めることを目的に掲げた場合、一番簡単な方法は牧立絵留がショゴス化する前に彼女を殺すことである。ショゴス細胞の活性化により周囲に悪夢など影響を与えているものの、タイムリミットまでは牧立絵留の肉体は無防備な状態にある。絵留は集中治療室に入れられているので人の目を盗むのは容易ではないが、恐ろしいクトゥルフモンスターを相手にすることよりは全然楽な仕事といえよう。

逆に、牧立絵留の命を繋いだままショゴス化を防ぐ選択は最も難しい。狂気の医師鳶口桐比古に協力を仰ぎ、彼に絵留を託すしか方法はない。しかも、鳶口曰くショゴス化を止めるにはショゴスの大元とされるウボ=サスラの一部の入手が不可欠という。キーアイテムを手に入れる為には、ミハエル達の儀式が遂行されることを黙認しなければならない。また、邪神の棲家に至ったとしても絶え間なく生まれる落とし子たちをやり過ごすには最低限払いの舞を会得している必要があるし、モンスターの巣窟で作業が上手く行く保障は無い。ここまでの条件をクリアしたとしても、牧立絵留を病院から鳶口の元に届ける、或いは鳶口を絵留の治療に当たらせるよう取り計らうなど、最後の仕上げまで時間との戦いとなる。

また、探索者の選択は上記の二択だけとは限らない。ミハエル達の儀式を阻止しようとすることは「探索者」としては真っ当とも言うべき行動である。もし儀式の媒体となる像を事前に破壊することが出来れば儀式自体が行われず、結果、(それが一時的ではあるにしても)シナリオ中はセンターで大量の血が流れることは無い。しかし、この場合は牧立絵留が生きた人の姿のままシナリオを終えることは無くなるのだが…。

・その後
期限まで牧立絵留を鳶口桐比古に託すことに成功しても、シナリオ中に絵留が目覚めることは無い。鳶口の研究成果は絵留のショゴス化を止めることは出来ても、体内からショゴス細胞を完全に消し去り彼女の意識を取り戻すといったことまでには至っていない。このことに関し鳶口は、ショゴス化を阻止するという「約束」は果たしたと主張する。
また、鳶口は今後も自分に絵留の身を任せるよう探索者(或いは絵留の残された親族である美都子)に要求する。鳶口は絵留の意識が戻るよう治療を続けると言うが、本心では喉から手が出るほど欲しかった研究対象を手放したくないと思っている。しかし、例え臨床実験の道具という扱いでも、ショゴス化の再発などを考慮すると絵留を鳶口の元に置くのはベターな選択ではある。


◎報酬
どのような方法にせよ、牧立絵留がショゴスと化し病院が惨劇の舞台となることを阻止することが出来れば、1D6ポイントの正気度を獲得する。もしそれがショゴス化した絵留を撃退したのなら代わりに1D20ポイントの正気度を得る。また、ウボ=サスラの一部を持ち帰ることに成功した探索者は追加で1D8ポイントの正気度を得る。
ミハエル一派の儀式を阻止した場合は、落とし子の流出という脅威を回避したことで1D10ポイントの正気度を獲得する。
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◎流離宮
センター地下フロアのゲートはウボ=サスラの棲家へと至る。媒体の像に触れることによって移動する。移動先には暗く明滅する平べったく丸い石があり、これに触れると元の場所(地下フロア)に戻る。ゲートは一定の時間しか機能せず、時間を過ぎると往来は出来ない。「門」を潜る毎に、1D6ポイントのMPを失う。この時、MPが0になると気絶した状態で移動先に到着する。

奇岩に周囲を囲まれた空間で、こちら側の媒体である石のある地点は行き止まりだが、反対側は一本道になっている。大人が数人並んでも悠々通れる程度の広さがある。真っ暗というわけでもなく、薄ら明るく、道を進むにつれ光度は増す。
最終的に崖になった開けた場所に出る。崖の下には光源となるマグマ状の流動した液体が遥か遠くまで覆い尽くしている。よく見ると、奇妙な形をした複数の「何か」がそこより這い出ようとし、その「何か」を波が飲み込むというサイクルを繰り返している。「何か」の中には、人間や動物の出来損ない(腕が複数ある、首が無い、翼が生えている等々)のような形のものもある。この液体こそウボ=サスラである。これらの光景を見た場合、即座に正気度ロールを行う(1D8/5D10)。

この場所に至ったのがミハエル達を追った後なら、彼らが落とし子を飲み込む波に捕まり、自在の源に取り込まれていく光景を目撃する。この際、ミハエル達は恍惚な表情で歓喜の雄たけびを上げ、ドロドロの中に沈んで行く。

探索者がこの場所に到着した時点で<幸運>ロールを行う。これに失敗すると、捕食を逃れた落とし子の一匹が興味を示し、探索者を襲う。以降、ここに留まる場合は1分毎にこのロールを行う。岩肌に身を潜めるなどの行動をした場合は、<隠れる>の結果次第で<幸運>のロールを1分毎から10分毎にするなど緩和させても良い。また、旧き印を持っている場合は<幸運>ロールの際に数値にボーナスを与えたり、スパンを長くするなど手心を加えても良い。

・採取
降城神社に伝わる舞は落とし子に気付かれないようにすることに有効で、ウボ=サスラの一部を採取出来る場所まで落とし子に見つからずに移動できる。但し、採取の瞬間は無防備になるので<幸運>ロールをしなくてはならない。これに失敗すると、生み出されたばかりの落とし子とそれを捕食しようとする波によってプールの中に引きずり込まれる。突然のことで、<回避>の半分(端数切捨て)に失敗すると、全身を捕食の波によって飲み込まれ助からない。
採取を速やかに遂行するには<DEX×2>に成功する必要がある。これに失敗する毎に<幸運>を行い、失敗すると落とし子と波が襲い掛かり、上記と同様の処理を行う。<DEX×2>ロールに失敗する毎に<幸運>ロールの数値は減少し、<POW×5>から×4、×3、×2と減り、最終的には×1のみとなる。

・知恵の実
ウボ=サスラの元にはこの世とこの世ならざるあらゆることが記された究極の魔道書があるとされる。星の石に刻まれた「旧き鍵」はこのどこかに存在するが、「門」が開いている短時間では見つけることは出来ないし、次々に生み出される落とし子たちの中に居るのは肉を持って獣の檻に入るより危険なことである。もし、無謀な探索にチャレンジする者が現れた場合は、神話の探求がいかに恐ろしいことかわからせてやるべきである。
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◎四十万公康の自殺
5月14日に起きるイベント。
院内の混乱から監視が外れた隙に四十万はボールペンの先端を自らの喉に突き刺し、自殺をする。時間帯は任意でも良いが、ここでは午後4時とする。

四十万は昼食を取った以降、睡眠に就き不審な挙動は目撃されていない(といっても起きてる時は相変わらず意味不明なことを呟いてはいたが)。4時に見回りに来た看護士がベッドの上で死んでいるのを発見した。その5分前に監視が院内の混乱に気が付き確認に席を外している。ペンは四十万の右手にしっかりと握り締められた状態で頚動脈を貫いていた。ボールペンは病院の備品(四十万が検診の際に医師のポケットからくすねていた)。
四十万の狂気は明らかに進行していたが、精神病棟の前日の自殺騒ぎやこの日の混乱等から専門医の対処や監視体制が十分では無かった。

四十万の使っていた枕の裏側に(ボールペンで描いた)奇妙な印が記されている。歪な五角形をしており、中央に書き損じを消すようなギザギザ模様がある。<クトゥルフ神話>ロールに成功すると、これが旧き印を模したものではないかという推測をすることが出来る(実際には完全ではないので効力は無い)。


◎儀式
5月14日深夜から翌15日未明にかけて起こるイベント。時系列で記す。

【14日午後11時】
ミハエル一派がセンターに現れる。ミハエル含む8人のウィザードは門を通じて地下フロアに出現。現場作業中の労働者4名を呪文により速やかに殺害、儀式の準備を開始する。
別働隊として3人一組の4グループが警備員室、センター入口、センター裏口、センター内地下フロアへの通路入口(階段)のそれぞれに配置。警備員室を襲撃したグループは深夜宿直の警備員2名を殺害、監視システム(監視カメラ、非常連絡装置等)を掌握する。センター内のエレベーターは停止し、地下フロアへは非常階段での行き来のみになる。以降、別働隊は警備室のグループの指示の下、地下への進入者の阻止に当たる。

【15日午前1時】
ミハエル達の準備が整い、「門」を開く儀式が始まる。

地下フロアの一室。床に魔法陣が描かれ、その中央に幾本も腕のある頭部が黒く潰れた奇妙な像が置かれている。魔法陣の周りには8人の灰色のフード付きローブを纏った者達(内、一人はミハエル)が輪になって詠唱をする。
この光景を目撃した者は<クトゥルフ神話>ロールで、これが異界へと通じる「門」を開く儀式であり、魔法陣中心の像が魔術的媒体になっていることがわかる。

像を魔法陣から移動させたり、ウィザード達の詠唱を止めさせると儀式は滞る。但し、像が破壊されない限り、ウィザードに欠員が出ても見張りから8人になるように補充しミハエル達は今夜中に儀式を完遂しようとする。儀式を阻止する一番の手段は像を破壊することである。像の耐久力は10で、0になると粉々に砕ける。
探索者が儀式を邪魔しようと立ち塞がった場合、当然、ミハエル達はこれに全力で抵抗する。

【15日午前2時】
何も邪魔が無い場合、儀式が終わる。

8人のウィザードの内、4人(無事ならミハエルを含む)は光り輝く魔法陣の中に入り、ウボ=サスラの棲家に赴く。彼らが「門」を潜ると光は収まる。残った4人は「門」を死守すべく、見張りに当たる。
以降、午前7時までの5時間、「門」は開放状態になる。像に素手で触れるとウボ=サスラの棲家に瞬間移動する。像を破壊すると「門」は時間を待たず閉じる。

「門」が開放状態にある間、魔法陣から小型のウボ=サスラの落とし子が出現する。30分毎(最初は午前2時30分)に1D4-1匹現れ、対処に追われる見張りのウィザードは3匹につき1人の割合で力尽きていくものとする。

※ウボ=サスラの棲家に関しては別項目参照。

【15日午前5時】
末次達郎の配下である青薙組構成員及びアルクトゥルスのメンバー16名がセンターに到着。ミハエル一派と抗争、銃撃戦になる。
抗争は約1時間続き、双方に多くの死者を出す。

【15日午前6時】
末次側がミハエル一派の見張りを退け、魔法陣のある部屋に到着。この際、「門」より大型のウボ=サスラの落とし子が出現、フロア内の人間を襲う。地下フロアに阿鼻叫喚が響き、それからすぐに沈黙。食事を終えた落とし子は元の棲家へと戻る。地下フロアは落とし子が食い散らかした肉片と血の池が残る地獄絵図(SAN 1/1D8)と化す。

【15日午前7時】
「門」が閉じる。
警察及び機動隊が到着。センターを封鎖する。

⇒到着時間
探索者がどの段階で現場(センター地下フロア)に到着するかによって、状況が変わることに注意する。時間に応じて探索者の敵になり得る人員やモンスターを配置すること(場合によっては任意に変更しても構わない)。


◎ショゴス化
5月16日に起こる最終イベント。牧立絵留に対して如何なる手段も講じなかった場合、彼女はショゴスと化す。

正午ちょうど。牧立絵留周辺の医療機器が突然誤作動を始める。それに呼応するように計器類や小物が振動する。耳障りな音…「テケリ…テケリリ…」という謎の声が次第に大きくなり周囲に反響する。絵留の体がベッドから跳ね上がる。2度、3度と激しくのたうつ。パジャマの内部が急速に盛り上がり、むくんだ肉が爆ぜて飛び出す。少女は見る見るうちにぶよぶよの脂肪の集合体のようなものに変形して行き、その肉塊は肥大して不定形の怪物になる。巨大な化物は転がるように移動して、周囲の生物…人間たちを体内に取り込んでいく。

ショゴスに牧立絵留の意識は無く、探索者が説得を試みても無駄である。この恐ろしい怪物に立ち向かうのは無謀であり、このイベントが起きてしまった場合の最善の方法は一刻も早くここから立ち去ることのみである。牧立絵留だったショゴスはあらかた周りの人間を貪り食らうと地下へと潜り、腹が減るまで眠りに付く。かくして一帯はショゴスの脅威に晒されることとなる。
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◎タイムスケジュール
このシナリオには時間制限がある。探索を開始する5月10日を含め1週間、5月16日が実質的な探索の期限となる。探索者が何も手立てを講じられなければ、牧立絵留のショゴス化は進行して行き、最終的に彼女は完全に怪物となり入院していた病院及び、その周辺に大きな惨事が降り注ぐこととなる。その日が5月16日である。

ここでは5月16日までの牧立絵留及びその周辺の状況の変化、シナリオに関係する各組織の動向を記す。

【5月10日】
探索の開始

○病院
牧立絵留の昏睡状態が続く。

【5月11日】
○病院
牧立絵留の昏睡状態が続く。

絵留の病棟に隣接する小児病棟に入院する子供の一部に「怖い夢」の話が広まっている。夢の内容に具体性はなく単に「恐ろしい」という抽象的なイメージ。何人か見ており、重病者に多い。
→牧立絵留のショゴス化が原因。ショゴス細胞が記憶する、かつての主が味わった恐怖(クトゥルフの侵略などの記憶)と、臓器を取り出されたアウグスティナの記憶が合わさり、どす暗いイメージになって絵留を通じて伝播している。

【5月12日】
○病院
牧立絵留の昏睡状態が続く。

小児病棟の子供の間で「怖い夢」がさらに広がる。重病者ではない子供も見るようになる。

病院に勤務する者の多くが気だるさを口にする。

【5月13日】
○病院
牧立絵留の昏睡状態が続く。

小児病棟のほぼ全員が「怖い夢」を見るようになる。パニック状態になる子供も出る。

離れた個所にある精神病棟で重度の障害者3名が壁に自らの頭部を打ち、自殺を図ろうとする。激しく暴れるのを拘束具と投薬処置でなんとか食い止める。障害者は「空から恐怖が来る」、「切り裂かれる」などといった内容のことを口走っていた。

病院勤務者、入院患者の多くが神経質になっている。ちょっとしたことに苛立つような仕草を見せる。

【5月14日】
○病院
牧立絵留の昏睡状態が続く。

小児病棟の他、一般病棟の入院患者、宿直の医療スタッフも「怖い夢」を見るように。あまりの恐怖に引き付けを起こし昏倒する子供が続出。

精神病棟に入院する患者の内、外から鍵のかけられた個室に隔離されている重度障害者のほぼ全員が強引な方法で部屋を出ようとし怪我をする。中には壁に全身を打ち重傷を負う者も出る。全員が「恐ろしいもの」から逃げようとしたニュアンスのことを言う。

四十万公康が自殺する。
※イベント参照。

○ミハエル一派
15日未明にかけて「門」を開きウボ・サスラの棲家へと至る儀式を行う。
※イベント参照。

【5月15日】
○病院
牧立絵留の昏睡状態が続く。

病院に留まるほとんどの者が恐怖を感じるようになる。小児病棟、精神病棟ではパニックになる患者が相次ぎ、対応するスタッフの間にも苛立ちと言い知れぬ不気味さが蔓延し病院全体が張り詰めた空気に包まれる。

○青薙組及びアルクトゥルス
ミハエルたちが「門」を開くことに成功している場合、異変に気付いた末次達郎の部下らがセンターに赴く。「門」から流出した「落とし子」の犠牲となる。
※イベント参照。

【5月16日】
○病院
牧立絵留がショゴスに変貌。病院は恐怖に晒される。
※イベント参照。


⇒怖い夢
病院に留まった場合、正気度ロールを行う。このロールは日毎に間隔が狭まり、10日の時点で12時間、11日で10時間、12日で8時間、13日で6時間、14で4時間、15日で2時間、それぞれ経つ毎に行う。失敗した場合、背筋が凍るような悪寒にとらわれ正気度ポイントを1失う。
この際、正気度を失った探索者は<POW×1>のロールを行い、これに成功すると奇妙なイメージを見る。それは白昼夢のように探索者の意識を奪う。

上空を覆う黒み掛かった靄のようなものが次第に迫ってくる。靄に包まれると、視界が暗くなる。突然目の前に一筋の切れ目が入り、光が射す。眩む中、うっすらと手のようなものが裂け目を抉じ開け、近付いてくるのが見える。耳障りな声(?)が聞こえる。「テケリ…テ…ケリリ……」

ここで幻覚は終わり、意識を取り戻す。
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◎開発地
京都郊外の自動車工場誘致に伴う宅地造成計画は津川町の一部もその区域に入っている。3年前より工場は本格稼動しており、人口の増加と共に僻地であった個所が急速に街として形成され、その機能が充実してきた。田畑や湿地が広がっていた元の姿は見る影も無く、宅地、道路、福祉施設など建設ラッシュに沸いている。

・総合医療センター
BDDP社出資の複合型医療施設。総合病院の他、リハビリや介護はもとより、カウンセリングを中心としたメンタルケア、様々な医療器具や薬品の管理備蓄、行く行くは救命病棟までも視野に入れた、医療及びそれに付随する行為全般をサポートする施設運営を目的としている。

建設には多くの人員と重機が導入され急ピッチに進められている。各施設はまだ建設途中で立ち入り禁止だが、中心となる医療棟は九割方が完成している。医療棟は開発区を一望できる小高い丘に建ち、建物周辺の敷地は公園として整備されている。新しい街の住民感情を考慮してか公園は一般開放されている。

⇒異変
センター及び付随施設の工事現場で作業員などから入手出来る情報。

①異形の影
夜間、奇妙なものが蠢いているのを見たという話。そいつは長い手足がいくつも絡まったような姿でゴロゴロと転がっていたという。また、蝙蝠の翼状の膜をバタつかせバッタのような脚で跳躍していた、巨大毛虫が自らの尾を咥えぐるぐる回っていた、脚の生えた三又のミミズがのたうっていた等の目撃談がある。そういったことを話す者は決まってどこか陰りがあり疲弊した様子で、仕事仲間からも白い目で見られている。<心理学>や<精神分析>で、何かショッキングな体験をしたことによる放心状態であることに気が付く。

目撃個所は医療棟(センター)に集中し、地下のX線室用に建設中のフロアに携わっている者が主な噂の発信源である。

②失踪
作業現場の人間が忽然と姿を消す。前日まで変わった様子も無く働いていたのに、翌日には居なくなっている。こうした肉体労働の現場では間々あることだが、詰め所に私物を置いたままなど唐突なケースが主である。

失踪は事実でここ三ヶ月で30人以上に上る。その多くはセンターの地下フロアに携わった者達である。現場の責任者は不祥事に繋がることを恐れ情報を隠蔽している。

⇒行政の対応
センター地下フロアは作業が遅れており、建物の完成の足を引っ張っている。そうしたことの要因となっているのが作業員のノイローゼ(異形の目撃談)であるが、事業主の行政や牧立開発の調査では目撃談にあるような「異形」は確認されていない。また、姿を消した者に関しては皆が派遣社員やアルバイトで、事実関係を問い詰めた場合は、単に労働に耐えられず職務を放棄したものと事業主側は回答する。

⇒外国人労働者
失踪者の中に3名の外国人労働者が居る。いずれも東南アジアからの出稼ぎ。現場にはアルコルワークスを通じて外国人の労働者も多く、彼らもアルコルワークスの登録となっている。彼らの履歴書の写真と、ランゲージスクール・スルガの生徒名簿を照合すると、名前は違うが日本語学校に一致した顔の人物が在籍していたことがわかる。
アルコルワークスに登録したのは半年前で就労ビザもアルコルワークスのデータベース上はちゃんとしたものである(実際には彼らの名前や素性は全て偽造であるが、アルコルワークス側は事実を知らない)。

※失踪した外国人労働者はミハエル達一派で、センターの地下フロアとミハエル達のマンションの部屋とを結ぶゲート(門)を作るために潜入していた工作員である。ゲートは開通し、儀式の日を待つ状態にある。

③不審者
センターの一般開放されている公園で不審な集団を目撃したという証言がある。外国人の集団で手を繋いで輪になって瞑想していた。
この集団はミハエルたち外国人支援団体の面々である。
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・マンション
ミハエルたちの団体が入居しているマンションの情報。

①マンション住人
住人たちの多くはミハエルらに対しあまり良い印象は持っていない。外国人が一室に集まって怪しげなことをやっているといった感じに捉えている。室内から妙な合唱が聞こえたり、駐車場で輪になって手を繋いでいたり、奇妙な点が目に付く。酷く迷惑というほどではないが、カルト紛いの集団(実際にそうなのだが)に思え関わりたくないという。

⇒精神疲労
ある程度の人数に聞き込みを行うと、話をした者の内数人の様子がおかしいことに気が付く(必要なら<アイデア>)。口調が消極的で質問に対しところどころが上の空な様子で、どことなく悲壮感に近い雰囲気が漂う。青白い顔でひどく疲れているように見える。それを問い質すと、睡眠は十分取っているが気だるさが抜けずここ一ヶ月くらいそのような状態が続いているという。医者には肉体よりも精神的なことからくる疲労と診断されたが、原因は思い当たらない。
ほとんどが専業主婦や在宅仕事の者達で昼夜部屋に居ることが多く、また、ミハエルたち団体が入居する部屋の階層に近いという点が共通する。

②監視カメラ
マンションの要所に監視カメラがある。VTRの中に、深夜の駐車場で外国人支援団体の面々が集まり輪になって何やら行っている映像がある。30分くらい輪になったままでいる。
マンションの管理者が団体に問い質したところ、彼らはレクリエーションの一環と答えた。入居時から行っており当初は日が明るい時間にやっていた。特に酷い迷惑行為というわけではないので一応の注意に留まり、団体も昼ではなく人目の少ない夜に時間をずらしたという。

⇒魔力の付与
<クトゥルフ神話>で、なんらかの魔術的行為であることに気が付くが、画質的な問題で特定できない。<コンピューター>技能を駆使し映像処理を行い鮮明にした場合、人垣の輪の中に奇妙な像が置いてあることが見て取れる。腕が幾本もある千手観音のような仏像に見えるが胴体の部分がはっきりせず黒い塊で頭部らしき部分も顔が潰れて表情がわからない。先の神話ロールに成功しているなら、像がマジックアイテムで彼らの行為が像に魔力を集める儀式であることに気が付く。
長期的に行われているが、ここ一ヶ月は特に頻繁に行われている。

③射原寺
マンションが建つ土地は以前、射原寺という真言宗系の寺であった。戦後間も無く廃寺となったが、自治体が管理し建物は存続していた。その後、ランゲージスクール・スルガの経営者であった駿河黄道が土地ごと寺を購入。駿河黄道の死後、宅地造成計画の区域であったことから行政から担当区を割り振られた牧立開発が土地を買い上げ、マンションが建設されるに至る。
この情報は開発に関する公文書で公開されているので簡単に入手できる。

⇒民間信仰
この地に暮らしていた者のほとんどは引越し、現在残っている者は極僅かである。元々が僻地であり開発前は過疎が進んでいた。現在残っている住人もかなりの高齢者であり、施設や病院に入っており実際には住んでいない。痴呆が酷い本人たちから情報を入手することは困難だが、施設や病院の従業員などから彼らが時折語る話を聞くことは出来る。

当地には古代宗教とも言うべき独特な信仰があった。大昔に存在した沼(総合医療センターが建つあたり)を神格として崇めるというもので、古代には沼の底に潜む大いなる存在に供物…人柱を捧げていた。大いなる存在はこの世の全ての支配者であり、元々その存在はあらゆる場所を行き来していたが、いつの間にか沼の底に鎮座したという。その存在に固有名詞は無く盲目的な信仰の対象であったが、沼は流離うものが住む場所という意味で「流離宮(さすらぐう)」と呼ばれていた。
時代と共に人柱の儀式は簡略し人形など代用を用いるようになった。射原寺はそういった形骸化した祭事を執り行う場所であった。寺名の射原は「しゃわら」ではなく本当は沼と同様の由来から「さすら」と読むのが正しい。

⇒像
古物商等から射原寺に関する情報を入手できる。

射原寺は珍しい仏像を幾つか所蔵しているという噂があった。過去にその一点が流通したことがあり、かなりの高値が付いたという。買い手は海外の資産家であり、オカルト…とりわけマイナーな信仰(神話的な)の研究者と知られる人物であった。あくまで噂なので、仏像の形態、買い手の詳細、流通業者など、詳しいことまではわからない。
この話が出始めた頃、寺と土地を駿河黄道が購入した為、像の存在含め噂は闇の中となった。

④侵入
ミハエル達、外国人支援団体が入居する部屋には常に6名が常駐している。内、5名は事務処理などのバックアップ要員だが、必ず1名はウィザード(魔道士の幹部)が有事に備える。但し、儀式が行われる時間は手薄になり、5月14日の午後11時以降はバックアップ要員2名が待機するのみとなる。

⇒儀式
部屋には、ウボ=サスラの棲家へと至る「門」を開く儀式を遂行するため集められたアイテムが多く所蔵されている。これらの資料に目を通し<クトゥルフ神話>に成功すれば、ミハエル一派の目的…ゲートを開き、ウボ=サスラの元に至ろうとしていることがわかる。また、ゲートを開放するには媒体(像)が必要なこと、棲家に繋がる「門」が存在する場所が総合医療センターの地下であること、儀式の日時が5月14日の深夜であることがわかる。
なお、媒体である像は儀式の日まで部屋の金庫に保管されている。

⇒門
部屋には儀式が行われるセンター地下フロアへと一瞬で移動出来る「門」がある。床に描かれた魔法陣で普段は上にカーペットが敷かれている。魔法陣自体は<目星>で発見できるが、これが「門」であることに気付くには<クトゥルフ神話>ロールが必要である。室内で<門の発見>呪文を使えば発見と「門」であることがすぐに気が付く。
通常は閉じた状態で「門」として機能していないが、5月14日の午後11時以降は開放状態となり魔法陣に入ることでセンター地下フロアに一瞬で移動する。この「門」は片道でありセンターからこちらに戻ることは出来ない。潜るとMPを1ポイント消費する。
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◎駿河春一
駿河春一ことミハエル・イブン・ラーハンは現在、ランゲージスクール・スルガの仲間たちと共に開発地にあるマンションの一室を借り、6年前果たせなかった目的の準備をしている。その目的とは駿河黄道の遺志に他ならず、魔術師の宿願、生命の源ウボ=サスラに至ることである。下準備は着々と進行し、今まさに実行に移る段階にある。

・外国人支援団体
ミハエルたちは表向きには日本に働きに来ている外国人の支援を目的とした非営利団体を装っている。マンションの一室には「グローバル・ネットワーク」と表札が掲げられ、電話での応対やホームページなどからは、外国人労働者の悩みを聞いたり集まってレクリエーション活動をしている変哲無い外国人のコミュニティに映る。
メンバーは総勢28名で、15名が元ランゲージスクール・スルガの生徒やスタッフである。また、そうでない面々も駿河黄道に支援を受けていた等、何かしらの関わりを持っていた者達である。

表立って探索者が訪問した場合は、ミハエルたちは慈善団体として振る舞う。
駿河黄道に関して質問すると、貧しい場所で育った自分たちを日本留学に導いてくれた恩人として尊敬している、といった風に答える。オカルト儀式については誤解であり、単に悩みを打ち明けたり交友を深める為の例会であった。売春紛いの行為をしていたのはごく一部の者たちで、生活苦や不慣れな土地で暮らす不安が招いた残念な行いであった。6年前の駿河黄道の死は彼らにとってショッキングな出来事であったが、事件の背景に何があったかは全く知らないという。
アウグスティナ・ニー・リーリャンに関しては日本語学校時代からの大切な仲間であり事故は大変痛ましく思っている。彼女が不法滞在していたこと、売春をしていたことは知っていたし、コミュニティには似たような境遇の者も居るが、生活を考えると責めることは出来ないという。アウグスティナはここに居る時は明るく、活動にも積極的なスタッフであった。

彼らは自分たちの真の目的や不利益を被ることは絶対に答えないし、駿河黄道や仲間の潔白のみを訴える。団体の活動や駿河黄道を非難するような態度を見せれば応対を拒絶する。また、探索者が自分達と敵対すると判断すれば、実力行使に出ることもある。
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◎ミザール
鳶口は現在、津川町にある末次達郎が経営するナイトクラブ「ミザール」の地下でヤクザ者相手に違法な医療行為を行っている。
会員制高級クラブであるミザールは20時から翌6時までの営業時間中は表と裏の出入り口を1名ずつのバウンサーが目を光らせている。地下室はミザールの特別な部屋にある秘密の通路を抜けなくてはならない。特別室は鳶口の診療を必要とする者の窓口であり、2名の青薙組構成員が連絡役として常駐している。鳶口の診療を受けるには青薙組やアルクトゥルスの関係者など裏の社会に通じる者の紹介が必要であるが、「飛び込み」の場合でも<幸運>と交渉系スキル次第で鳶口本人が気に入り入室を許可するかもしれない。

窓口の部屋から階段を下りると診療室がある。薬品棚や医療機材が壁際を覆い、中央に診察台と机が設置されている。入口扉と対面する奥にもう一つ扉がある。奥の部屋は手術室兼研究室になっている。

・ギブ&テイク
鳶口の興味と情熱は、生命誕生に関する本当の理由=神話的真相のみに注がれている。遺伝学の天才は知的探求の末に世界の裏側にある禁断の知識へと至り狂気に魅入られた。神話が真実である確証を得るため裏社会に身を置き人体を切り刻んできた。6年前、遂に彼の思いは成就した。ショゴスを祖先に持つ人体=ヘレナに出会ったのである。
鳶口は探偵を雇い、ヘレナの内臓が移植された牧立絵留の動向をずっと探らせていた。彼女に起こる変化を観察する目的があったが、一向に絵留の体に兆候(ウィルクスランド症候群のような)は現れなかった。ところが、事故が起こり事態は急変する。
絵留が警察の監視下にあることは鳶口にとって望ましくないことであり、絵留の今現在の状況は彼が何よりも欲しい情報である。絵留の情報と引き換えなら、鳶口は自分の知っていることを探索者に話す可能性は高い。

以下、鳶口桐比古の知る情報。

①研究と観察
鳶口の生涯を賭した研究は生命誕生の秘密を解明することである。彼はその秘密が古のものが使役したショゴス、そしてそのルーツが「生命の源」に他ならないことに気が付いている。ウィルクスランド症候群は人体に潜むショゴス細胞が活性化したものに他ならない。公式の記録には残っていないが、発症者は最終的に先祖帰りを起こしショゴスとなる。その度に勇気ある者=探索者が惨事を食い止めてきたし、或いは探索者が現れなかったり探索失敗によって恐ろしい事件が起こることもあった。鳶口はそういった公にならないことを記した資料も保有している。
6年前、内臓摘出の依頼を受けた対象の外国人女性(ヘレナ)はショゴスの細胞を持っていた。その内臓を移植した牧立絵留は重要な観察対象であり、探偵を雇い監視し続けた。鳶口の目的はウィルクスランド症候群を発症させ、実際に自分の目で見ることにあった。しかし、期待した変化はいつまでも起こらず、現在に至った。

⇒取引
鳶口はウィルクスランド症候群=ショゴス化を抑える方法を長年の研究から掴んでいる。それにはショゴスの素となった「生命の源」の一部が必要である。もし、探索者がそのキーアイテムを用意出来るというなら、彼は牧立絵留のショゴス化を止めることを約束する。鳶口の研究にとって変化の推移を知ることは重要であるが、完全にショゴスと化したものがあまりに危険で人類の脅威であることを彼は十分に理解している。
探索者がこの取引に応じた場合、鳶口から採取用の器具を渡される。注射器に似た円筒状の装置で、ボタンを押すことで先端が開き吸い上げる仕組みになっている。特殊な金属で出来ており、象形文字の様な奇妙な紋様が全体に刻まれている。<クトゥルフ神話>でこの装置が、ミ=ゴの技術によって作られた機械に近い印象を受ける。鳶口曰く、ショゴス細胞の研究の際に学んだ技術を応用した品で、邪悪な存在(神話生物)の体液の保存に耐え得る代物だという。

②末次達郎との関係
BDDP社は台湾マフィア「七星の番人(アルクトゥルス)」の息が掛かった会社であり、アルコルワークス社長の末次達郎はアルクトゥルスの幹部であることを鳶口は知っている。末次との関係は6年前より以前から続いているが、鳶口にとって闇医者稼業は自らの研究に都合が良い単なる手段であり、末次に関しても研究の材料と資金を提供してくれる(皮肉った意味での)慈善家程度にしか思っていない。末次の目的(牧立開発を裏で動かし公共事業の受注から多大な利益を得る)には興味は無いし、6年前の牧立絵理の事故や駿河黄道の事件の背後にある真相は知らない。

⇒ヘレナ
牧立絵留に移植された内臓の持ち主について。
ヘレナ・ポドルスキー、24歳、ロシア人の祖父を持つフィリピン人。日本語学校ランゲージスクール・スルガに通っており、末次達郎が経営する(ミザールよりずっと格の低い)クラブでホステスをしていた。また、店の常連客相手に売春紛いの行為をしていた(店側が裏で手引きしている)。
ヘレナの出身地はフィリピンの山岳地帯にある寒村で、前時代的土着宗教=シャーマニズムの類が根付いている。過去に村出身者からウィルクスランド症候群と思しき発症者が出ている。
臓器を摘出する候補者はへレナの他にも居たが、この経歴から鳶口が彼女を選んだ。

③ウィルクスランド症候群
ショゴスから派生した人間が先祖帰りを起こしショゴスに変貌する。明確な原因は鳶口も掴めていないが、出身や家系などによる発症者自身の素養の他、地域からも影響があると鳶口は考えている。実際、病名となっているウィルクスランドは南極であり、ショゴスを使役していた古のものの大きなコロニーが存在する。

⇒タイムリミット
鳶口は絵留の現在の状況から、彼女のウィルクスランド症候群の進行具合を割り出せる。およそ何日でショゴスへと変貌するのか、鳶口を通じて「期限」を探索者に知らせても良い。
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