2008年 10月 13日 ( 5 )

精神異常者「岩見沢振」は施設を脱走し、津川町に潜伏している。首を切断された大石恵の亡骸を死姦したのは彼である。
人としての境界線を逸脱した男に、目を付けた存在があった。それは人ではなく、伝達者にしてすべてを嘲笑うもの…。


◎依頼
探索者の捜査がある程度進んだ頃、一人の女性が接触を求めてくる。例に出した設定を使用しているなら、『月間うぃあーどているず』の編集長から、探索者に会いたいという女性がいるとの連絡が入る。
このイベントのタイミングは任意で構わないが、1つか2つの他のセクションをクリアした中盤付近が望ましい。

女性の名前は「瀬良一三(せらひとみ)」、20代後半の髪が長く眼鏡をかけたインテリ風の美女。瀬良は自分が京都保健所精神衛生局の精神科医と名乗る。
京都保健所精神衛生局は国の特殊機関で、一般には知られていない。国立精神・神経センターから派生した機関で、裁判で精神異常と判断された者のうち、犯罪性の極めて強い事件を起こした重度の異常者を隔離し、研究する。

「単刀直入に言います。あなた方が追っている事件の犯人は岩見沢振、当施設に隔離されていた精神異常者です」

岩見沢は12月14日の夜、忽然と姿を消した。監視カメラの映像には、拘束具を付けた岩見沢が器具を残し消える瞬間が残っていた。瀬良はその映像をはっきりと見たという。岩見沢の部屋は施錠され、その時刻に人の出入りは無かった。

岩見沢の脱走は戒厳令が布かれ、局内でも上層部と極一部しか知らない。局の沽券に関わるため、内々に処理したいのが実情。
担当医であった瀬良は岩見沢捜索の協力者として探索者を選んだ。彼女は「探索者」という立場が秘密裏の活動に都合が良いと判断した。
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◎アトリエ
寝子ヶ池のアトリエは津川町にある。山間部の、辺りを林に囲まれた目立たない場所。近隣に民家はない。建物は別荘風のロッジ。

・罠
寝子ヶ池は、自分が招待した探索者を薬物を使って気絶させようとする(クロロホルム、睡眠薬など)。まんまと罠にはまった探索者は、永遠に眠らされ、寝子ヶ池の絵のモデルにされてしまう。

・ピックマンのモデル
寝子ヶ池の仕事部屋には、死体がいくつも転がっている。腐って骨の見えているもの、切り刻まれているもの、内臓だけ抉り取られているもの、バラバラの手足…。(SAN 1/1D6)

部屋の蔵書に古いドイツ語の書物がある(<目星>)。表題はないが、<ドイツ語>を20%以上持つ者が目を通し、<オカルト>に成功すると、この書物が死体を動かす方法を記した魔道書であることに気付く。
(研究日数:1週間、<オカルト>+3%、<クトゥルフ神話>+1%、SAN 0/1D3、≪黒い束縛≫の呪文が記されている)

部屋を捜索していると寝子ヶ池が現れ…
「秘密を知ってしまいましたねぇ。あなたも私の生贄になってもらいましょう」
彼が手をかざすと、死体の中の比較的損傷の軽い一体が立ち上がり、探索者に襲い掛かる。この光景を見た者は正気度ロール(1/1D8)。

ゾンビを倒すと、寝子ヶ池は腰を抜かし、命乞いをする。
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奇怪な絵を描いた画家リチャード・アプトン・ピックマンに多大な影響を受けたのが、近代画家の奇才「寝子ヶ池新」である。彼の描く絵はすべて胸の悪くなるようなスプラッタ描写。そんな絵がはたして想像だけで描けるものだろうか。
彼の絵には恐ろしいモデルが存在した…。


◎寝子ヶ池新
寝子ヶ池は新進気鋭の画家である。スプラッタが彼のジャンルで、その吐き気を催すほどの描写は海外からも高い評価を得ている。
現在、京都の某所(任意)で個展が開かれている。

・展覧会の絵
個展は有名ホテルのホールを貸切、いくらかの高い入場料を取られる。
展示されている50あまりの絵画は、腐った死体や内臓、脳ミソ、切断された手足や切開された腹など…どれもおぞましい描写のものばかり。一通り見て回った時点で正気度ロールを行うこと(0/1)。
展示物を見て、<アイデア>に成功すると、人体を扱った他のものとは傾向の違う一枚の絵に目が留まる。その絵には毛むくじゃらの醜怪な人と犬の中間のような化け物が描かれている。<クトゥルフ神話>で、これがグールを描いているのに気付く。

・誘い
探索者が個展を見学していると偶然、寝子ヶ池と出くわす。ぼさぼさ頭にベレー帽をかぶった小太りの中年。にやけ面でいやらしい感じの印象。
寝子ヶ池は平均的な能力値の探索者にはまったく応対しないが、APPかCONが15以上の者には彼の方から話しかけてくる。

「君、モデルをやってみないか?今度、うちのアトリエに遊びに着なさい。勿論、君一人で」

寝子ヶ池から彼のアトリエの住所が記された名詞を渡される。寝子ヶ池は自分が気に入った探索者の質問には好意的に答える(それ以外は完全無視)。

首無し殺人に関しては、絵の資料として検死の写真を貰おうとしたと答える。

グールの絵のことを尋ねると、
「あの絵は私のもっとも尊敬する画家の絵を真似てみたのだが、なかなか彼のようにはうまく描けなくてね。苦労しているよ」
その画家を聞くと、リチャード・アプトン・ピックマンと答える。<芸術(絵画)>か<オカルト>で、ピックマンが1926年にボストンから失踪した怪奇画家であることを知っている。食屍鬼(グール)の絵を描いた。

・モデル
個展のスタッフや、業界関係者から次の情報を得れる。
寝子ヶ池が闇業者から死体を買っているという噂。作風が作風だけに、そういった話が出るのだろうといった感じで話される。

実際に寝子ヶ池は裏ルートで死体を手に入れている。
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◎幼児首無し殺人
このイベントを起こす時期は任意で構わない。シナリオの進行状態を考慮のこと。
テンポ的に、榊原の娘の存在とその障害が発覚した直後を推奨。あるいは、医院長室で榊原が凶行に及んだ事後情報としても良い。

津川町で、幼稚園児の少女の首無し死体が発見される。
夕方、母親が迎えに行った際、園内に少女の姿は無かった。母親と職員が捜索したところ近所の河原で首を切断された胴体が見つかった。少女の死体は、仰向けで胸の上で両手を組んだ状態だった。


◎医院長室
榊原医院の院長室は常に鍵がかかっている。

内部には、書物や資料の類が山のようにごった返している。その全てが脳に関するもの。
膨大な書類郡に対し、<図書館>と<医学>の両方に成功すれば、榊原が脳移植の研究をしていたことに気付く。但し、現代医学において脳移植は動物実験の領域で、人体に対して行われたことは無く、また、倫理的にタブーな部分が大きい。

・隠し部屋
医院長室には隠し扉があり、地下の部屋と繋がっている。
病室のような部屋で、ベッドがあり、幼い少女が眠っている。少女は点滴を打ち、呼吸口には管が通され、ベッドの脇には生命維持装置が設置されている。
ベッドの隣には、手術台があり、機材が揃っている。

・医者の狂気
幼児首無し殺人のイベントの事後の場合、榊原は隠し部屋で娘の脳移植手術を行う。
探索者が侵入した時、ちょうど榊原が手術台で園児の頭部から脳を取り出した場面と遭遇する(SAN 0/1D3)。
正気を逸した榊原は探索者に気付くと、メスを持ち襲い掛かる。

「知ってるかい、脳移植は理論上は可能なんだよ。でも倫理の壁がそれをさせない。バカげてるだろ?娘がこんなに苦しんでるのに」
「あの死体を見て思った。だったら自分で脳を探せばいいんだ。娘にあった脳を」
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脳外科医「榊原京一郎」には娘がいる。
5年前、最愛の妻が命と引き換えに出産。しかし、生まれた赤子は脳に障害を持ち、目覚めることのない植物状態であった。現代医学では治すことの出来ない娘の脳。苦悩の果て、榊原は娘のために狂気の手段を実行する。


◎榊原医院
津川町に脳外科・外科の個人医院を開業している。
榊原は穏やかな印象を受ける中年男性。

・大石恵の検死
榊原は、大石恵の検死について事件情報なので簡単には口を割らないが、交渉次第で聞き出すことが出来る。

死亡推定時刻は15日午前0時の前後1時間以内。死因は不明。頭部が見つかってないので、首の切断が直接的な死因とは断定できない。胴体部分に他に大きな外傷はなかった。
死体の膣内から精液を検出。AB型の年齢的に16~24くらいの若者のものと思われ、被害者が死亡した後に付着した。死姦の可能性が高い。

尚、榊原は自分のプライベートについては一切口を閉ざす。

・秘密の医院長室
病院の従業員から聞ける情報。
榊原は医院長室に誰も入れさせない。常に鍵を書け、応答は室内の電話を使う。開業以来、そういう姿勢を貫いている。
不審に思った従業員の一人が、榊原が入室する際、こっそり中を覗いた。しかし、ぱっと見た感じは机や本棚のある普通の部屋だった。医院長に知られたくない恥ずかしい趣味でもあるのではないかと、若い従業員の間では囁かれている。


◎榊原京一郎について
榊原は腕の立つ脳外科医として業界では名を知られている。5年前まで京都の有名大学(任意)で教授の立場にあり、付属病院で医者として執刀していた。

・妻と娘
5年前、榊原の妻「美和(みわ)」が死亡している。同日、娘「雅美(まさみ)」が誕生している。
この情報は戸籍に記載されている。

榊原医院の従業員は榊原の妻子について一切知らない(娘の存在自体知る者はいない)。

・不治の病
榊原が在籍していた大学で、彼と親しかった人物から次の情報を得れる。

5年前、榊原の妻が出産後死亡した。彼女は元々体が弱く、相当な負担を伴うことが予想されたが、本人のたっての希望の出産だった。妻の死と引き換えに生まれた娘は脳に障害があり、植物状態であった。障害は現代の医学で治療不可能なもの。
それからすぐ、榊原は娘を連れ、大学を去った。榊原は、死んだ妻の為にも自分が必ず娘を治すと言っていた。
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