犯人

少女を誘拐した犯人「澤田琢(さわだ・たく)」は残忍だったり異常性を持った人物では無く、社会的な生活を送っているごくありふれた一般人である。少し前まで日々のストレスの蓄積が原因で自殺を考えていたが、個人タクシーを廃業し別の仕事(バスの運転手)に就いたことで心の安定を取り戻している。現在は一月前の出来事を悪い夢だったと思っている。

「悪夢」から数日のうちに、個人タクシーの廃業の手続きをし車両を中古車店に売っている。翌週には大型二種免許を持っていたこともあり職業安定所から小都市にあるバス会社を紹介され、すぐに再就職が決まる。研修を終え、先日から本格的にバスの運転手として働いている。元々大都市近郊に住んでいたが、現在は就職したバス会社の社員寮(小都市にある)に在住。

「ゴーストキャブ」の元の持ち主程度のことにはあまり動じず「それが何か?」といった態度を取るが、ホテルの監視カメラ映像の不審行動や行方不明の少女について問い質すと顔が青ざめ狼狽した様子を見せる。さらに追求すると観念して、一月前にあったことを話す。

◎悪夢の真相
長年のタクシー稼業に疲れ自殺を考えていた。一人では心細いので自殺サイトなどで心中するパートナーを探したが見つからなかった。
あの日、売春ホテルまで客を乗せた。事が終わるまで待つよう言われた。待機中の金も色を付けて払うということで、身形からしても羽振りが良いことが分かった。死を悩んでいる自分がとても惨めに感じた。
小一時間経ち、やるせなさに伏せた顔を上げるとホテルの入口に少女が見えた。ヒラヒラした軽装で、一目で娼婦とわかった。時間的にあいつの相手かもしれない。そう思うと理性の抑制が効かなくなり、気が付くと目の前に少女が倒れていた。息は合ったがもう戻れない。口を塞ぎ両手足を縛ってトランクに詰めて車を走らせ高速に乗った。

この少女と死のう。

ウィスキーボトルを一気に呷ると全身が熱くなった。街で買った合法だか脱法だかよくわからない怪しげなクスリも一緒にキメると最高の気分だった。後方で物がぶつかる音がした。トランクの中で少女が暴れている。急に怖くなり、我に返った。外を見ると景色が逆さまだった。天と地が逆の高速道路を走っている。
わけがわからないまま、とりあえずいつも休憩に使うパーキングエリアに入った。そこに奇妙な四角い箱が幾つもあった。車を降り近付くと、その中に1つ開いている箱を見つけた。なんだか棺桶のように思えた。もしかしたらここはあの世かもしれない。きっともう死んだんだ。今更だが自分はともかく巻き込まれた少女が不憫だ。せめて弔いに棺桶に入れてやろう。
少女を箱に納めると蓋が閉まった。その時、背後に気配を感じた。振り返った鼻先を刀が掠めた。鎧が居た。大河ドラマに出てくるような甲冑が襲ってくる。
急いで車に戻り、その場を逃げ出した。それからのことは何も覚えていない。気が付くと朝で、自分の部屋で天井を見上げていた。

・スピード
酒を飲んで運転した際には時速160キロメートルを超えていたという。

・放置個所
澤田から立ち寄ったパーキングエリアと少女を捨てた立方体の位置を聞くことが出来る。地点⑦PA、習慣で決まった位置に車を止めていたので降りて目の前にあった立方体の場所を覚えていた。
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by nurunuruhotep | 2017-03-14 17:47 | the Queen's High-way | Comments(0)