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3.同じ顔の死体

◎監察医
被害者4人の監察医は県立大学の医学教授が担当した。この教授は以前より解剖を請け負っており、自分のゼミの学生らに実習として解剖に立ち合わせている。
弁護士の伝手など頼りに、教授から以下の情報を手に入れることが出来る。

被害者の検案に関しては警察に報告した通り。4人とも強度の全身圧迫による内臓破裂に伴うショック死。男性3人からはアルコール、女性の体からは3人のものと思われる体液が検出された。
※検案資料の写真に写る女性の顔は、垣内の知人が携帯電話に保存していた女性と同じ顔をしている(項目4)。

・植物
身元不明の女性の胃の内容物からある植物が検出された。アカバナ科と同種の組成を持ち、その一種と推測。(検出されたものは)微毒性を持ち、多量に食すと下痢や嘔吐を引き起こす。食用ではない。また、幻覚作用のような麻薬的効能は無い。
※この植物は「月霊花」である。詳細は別項目(12)参照。

・同じ女
事故死した女性と同じDNAを持つ女性を教授は2月26日に解剖している。
2月26日に持ち込まれた女性は3日前に河川敷で発見されたもの。腐食の度合いが激しく、気候を考慮しても死亡推定時期の特定は非常に困難とのこと。年齢特定も出来ていない。外傷はなく、死因は不明。

・ゼミ生の不審
被害者4人の解剖時、教授のゼミに所属する学生が実習として立ち会った。その中の一人、3年生の「清住陸(きよすみ・りく)…21歳」が不審な行動を起こした。実習時に突然叫び、実習室を飛び出して行った。清住は過去幾度か実習に立ち会い教授のサポートをした経験もあるが、今回のような恐慌状態になったことは無い。
清住が恐慌状態に陥ったのは身元不明女性の解剖時である。身体を包んだ防護用シートを外した瞬間、悲鳴を上げ出て行った。以来、現在まで清住は登校していない。
学生を擁護する立場の教授はこの件に関して積極的には語らないが、同じゼミの学生や研究員から聞くことが出来る。
※清住陸に関しては別項目(5)参照。

◎もう一人の女
2月23日、街外れを流れる一級河川の河川敷で女性の腐乱死体が発見された。発見者は河川一帯の不法投棄物の調査を行っていた市の職員2名。草むらに投げ捨てられたゴミ郡の傍らに横たわっていた。
着衣は大量生産のセーターとスカート及び下着類、他に所持品は無く、腐食の度合いがひどい為に身元の特定は出来ていない。3月10日に交通事故で死亡した身元不明女性とDNAの型が一致する。

・現場検証
女が見つかった河川敷は葦などの背の高い草が生い茂り、外部から遮断されている。その為か草むらには粗大ゴミが多く捨てられている。警察の捜査で死体があった個所は草が刈られ、土手から眺めるとそこだけがミステリーサークルのように丸く刳り貫かれて目立つ。
警察の手が入っていることもあり、目ぼしいものは見つからない。

→付近の事件
1月14日、河川敷からそう遠くない距離にある納屋の内部が血塗れになっているのを、持ち主の農家の主人が発見し警察に通報した。納屋は田畑の敷地にあり、住まいから離れている。普段は農耕機具を仕舞っており、冬場は滅多に訪れることはない。未明に地震(3時40分、震度2強、震源は3月10日同様県山岳部)があり、主人が朝に機具の不備を確認に出向いたところ、内部の壁や床、機具に血液が散乱していた。
警察の捜査で、血液は複数人のものであり、建物内部で激しく争った痕跡があることがわかった。また、壁の一部から銃創が見つかった。納屋周辺は田畑に囲まれており、民家も少なく、警察は不審者の目撃証言等、有益な情報を取れていない。
by nurunuruhotep | 2009-08-21 21:54 | 月狂 | Comments(0)